寺田寅彦記念賞


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●募集要項

毎年報道機関へ発表した時に更新します。上段メニューの「奨励と授賞」をご覧ください。

●寺田寅彦記念賞 19年のあゆみ

「文教高知」45号 高知県文教協会発会50周年特集号(平成11年11月27日発行)より

 寺田寅彦記念賞授賞は第1回が昭和56年にはじまり、本年すなわち平成11年2月20日には第14回目の授賞が行われた。いつの間にか、19年という歳月が流れている。ただし、今年の授賞は昨平成10年度分の審査に属するものであったから、実質18年間に4度の"授賞無シ″を挟んだ第14回目に当たる授賞であった。
 
 本賞は当初、「高知県出版文化賞の特別賞」として発足したが、賞の特性を明確化するために、昭和60年7月2日、「寺田寅彦記念賞の授与ならびに選考に関する規定」を制定、改めて継続された。
 
 次にこれまでの授賞作品を表記する。(受賞作品一覧参照)
 
 本賞の授与ならびに選考に関する規定で、特に本賞独自の条件としては、授賞対象が、
  イ、寺田寅彦に関係した作品、
  口、自然科学を対象とした研究または随筆であることである。
また選考委員は、第1回から第4回までは、高知県出版文化賞審査委員が兼務、第5回以降の関係者はつぎの諸氏であった。 (毎回5名構成だが、紙幅の都合で各回毎のメンバーは省略)
 
 英保怜一郎 宇和川匠助 岡野健之助 鈴木尭士 広谷喜十郎 山田一郎 上田 寿 榊原忠彦 伊藤龍象 窪田善太郎 木村正廣 岩田一明 寺尾好男 以上13氏 
 
 筆者は、第12回選考委員会以後今日までの委員を勤めさせていただいたので、それ以前、多数の選考事情について知るものではない。しかし、前掲の授賞作品全体を概括的に分類すると、 文学専門的研究2、評価乃至文学的研究1、肉親による追想1、寅彦の遺品資料による科学的研究乃至随想1、地学・天文学、海洋や生物や環境生態学に関係した科学的研究乃至随筆9 という具合に把握することもできる。
 
 寺田寅彦の専門は勿論科学者であったのだから、当然かも知れないが、物理学プロパーの数篇を含めて広く諸科学分野にわたっている関係作品が、その半数をかなり越えている割り合いである。詳記できなくて残念だが、そうした各種多様な科学的範疇に入る授賞作品中、特に文句なしの高評を博したのは、関勉著『ホウキ星が呼んでいる』であった。その選考のあとで高知新聞へ掲載された拙稿より抄出して、便宜的にその折の様子を紹介しよう。
 
 「……そうした天体にとりつかれ、その夢とロマンを追いつづけてきた生涯での陰影とか歪みとかを、その過程で示唆や激励を受けたその道のいろいろな人々、探索機・レンズ・計算機等々、かなり詳しく記載することで、こうした体験を後につづく後輩のために書き残そうとしています。
 選考委員会では、他の有力候補に較べ、何より科学の世界を専門的に一貫して記述した内容であり、著者本人が、常人の模倣できない精神力で努力した結果の直接の実践記録であること。その科学業績で土佐を内外に知らしめたこと。天体研究を志す今後の若い人たちに刺激や影響を与えること大で、実際に役立ち、極めて価値高い第一級の著作、そうした意味で文章も追力があるとの見方もあり、全員一致で授賞に決定いたしました。」
 
 上の理科的な作品に対し、文学に包括される作品はやはり数では少なかった。
 だが中でも、寺田東一さんはじめお子様方による回想文集の『父・寺田寅彦』の貴重な資料的価値などは別格だつたと言える。他に、山田一郎氏の『寺田寅彦覚書』は高知新聞に105回連載、岩波書店から出版され「芸術選奨新入賞」にも選ばれたし、故宇和川匠助『寺田寅彦連句の世界』も、まだ誰も手掛けていない連句評釈に挑戦し、その道を開拓する先鉾的意義を果たした。
 
 いつも少数精鋭の候補作品群だが、応募数の少ないのが難点。奮って自薦・他薦を乞う。

 (榊原忠彦 執筆当時 前寺田寅彦記念賞選考委員)